お盆になると、たくさんの飾りが精霊棚や仏壇の周りに飾られますね。
お盆飾りは亡くなったご先祖様が一年に一度、家に帰ってくるのにおもてなしをする大事な日本の行事です。
その中でも特に目をひくのが、なすときゅうりではないでしょうか。
見た目もおもしろく、どんな意味があるのか想像もつきませんよね。
今回は、なぜお盆にはなすときゅうりを飾るのか、その意味などを詳しく
ご紹介したいと思います。
■みんな知ってた?なすときゅうりはお盆に欠かせないこんな意味があった!!
お盆に飾られるなすときゅうりは、精霊牛、精霊馬という名前があります。
お盆に飾るなすときゅうりには、それぞれ動物の足に見えるように、つまようじや割り箸がささってはいませんか?
なすは牛、きゅうりは馬に見立てて作られているんです。
動物のようには見えますが、とても牛や馬には見えませんよね。
動物なら何でもよかったの?と疑問に思う方もいるかもしれません。
しかし、馬と牛であるのには意味があります。
精霊馬、精霊牛にはそれぞれ、亡くなったご先祖様が家に帰ってくるとき、
そして、お盆が終わって天に帰るときの乗り物としての役割があるんです。
家に帰ってくるときにはきゅうりの馬に乗り、天に帰っていくときは牛に乗ります。
なぜ馬と牛なのかというと、馬は足が速く、牛は足が遅いイメージはありませんか?
馬に乗るのははやく家に帰ってこれるように、牛に乗るのは景色を見ながらゆっくりと帰れるように、という意味があります。
また、牛に乗るのはお供え物などのお土産を持って帰るのに、できるだけたくさん持って帰れるように力の強い牛に乗って帰るともいわれています。
■お盆に使うなすときゅうりはどうやって決める?
精霊馬や精霊牛に使うなすときゅうりは、なにか特別なものである必要はありません。
いつも料理などに使うために買っているなすときゅうりで大丈夫です。
しかし、動物の形に見えるようにするために、おおきく反った形のなすときゅうりを選ぶと、より馬と牛に見えやすくなるので、反ったものを選ぶようにするといいでしょう。
なぜ精霊馬と精霊牛にきゅうりとなすを使うようになったのか、それは実は理由ははっきりとはわかっていません。
なすもきゅうりも夏にたくさんとれる野菜で、真全国的にどの地域でもとれたことから使われるようになったのではないか、といわれています。
昔は食糧難でとれる野菜が多くなかったことから、比較的とれやすくて新鮮な
なすときゅうりをご先祖様に食べてもらいたい、という心遣いだったのかもしれませんね。
お盆が終わると、精霊馬、精霊牛は処分しなければなりません。
お盆の間に飾っていたきゅうりとなすは、夏の暑い日に穴を開けて室温で飾られていたものですので、残念ながら食べることはできません。
本来は、役目の終えた精霊馬たちは川に流していましたが、現代ではそれは難しいです。
お寺で処分してもらったり、塩で清めてから白い紙にくるんでゴミとして処分するのが現代風の処分の仕方です。
また、燃やして処分する、という方法もありますが、その場合は火を使うので
十分に気をつけて処分するようにしましょう。
■まとめ
お盆飾りのきゅうりとなすには、それぞれご先祖様が家にはやく帰ってこれるように、
また、たくさんのお土産を持って、景色を見ながらゆっくりと帰れるようにと、乗り物の馬と牛の意味があります。
どんなきゅうりとなすを使ってもいいですが、できるだけ動物に見えるように体のおおきく反ったものがおすすめです。
何気なく飾っていたきゅうりとなすも、意味が分かれば飾る際にも気持ちがこもって、ご先祖様をきちんとおもてなしできるような気がしてきますね。